2024年9月18日例会(終了)
タイトルは『全顎的補綴症例の20年後』
発表内容は50代女性、下顎両側567欠損の患者に対する、インプラント修復20年経過でした。
患者は山鹿からの来院とのことで、治療完成後のメンテナンスには4年間定期的に来られていたが、その後、来院が途絶えた。口腔内写真を撮られるのが、嫌だったのかも、と推察された。
治療内容は、上顎残存歯は失活歯が多く、クラウンブリッジによる連結固定を行い、最終補綴まで完了した。術後4年間はメンテナンスに来院した。
2020年まで連絡なかったが、17年の経過で来院。右上⑧7⑥ブリッジ部分が咬合力に絶えず綻びが生じていたため、再治療を推奨したものの、自覚症状に乏しいため、経過観察していた。
2023年右上65の歯根破折により、来院、同意を得て抜歯を行い、歯肉の治癒後右上⑧⑤④にインプラント修復を行なった。
今後下顎はこれまで通りの安定が予想されるが、上顎については、失活歯が多く、メタルコアも太い修復が散見され、歯根破折等のリスクも考えられるため、メンテナンスをしっかりしていきたいとのこと。
参加した会員からは、隠れ2級の可能性はどうだったか質問がなされたが、1級とのこと。また、失活歯の多い患者ながら、17年間の安定は、補綴による咬合の付与が適切であったとのコメントがあった。
患者は70代半ばに達しており、今後、BP製剤を服用する場合にインプラントを応用できるかディスカッションされた。
右上のブリッジの崩壊に至る過程で右上前歯部分の歯肉退縮を生じてきていたが、右上臼歯部のインプラント修復により、咬合力の左右バランスが良好となり、前歯の咬合力が軽減され、結果、前歯部歯肉のクリーピングを認めた。
本論と外れるが、最新のBLXインプラントにおけアバットメントのフィクスチャー内部での破折が生じた会員からの質問に対し、添島先生がメーカーには落ち度はなく、術者に責任があると、明言されていたのが印象的であった。
次回例会は10月16日堀川正先生の30年経過症例の発表予定です。